急にちゃきの老いと向き合うことになって
えーと、8月後半はけっこう毎日イライラしていました。
というのも、ウチの、正確には実家の、犬「ちゃき(雑種・16才)」にイラついていました。ちゃきがいる実家の敷地は隣です。だからヨソヨソしく言うと「隣の犬」ですね。外飼いで、毎日の「ごはん」と「散歩」が生き甲斐のコです。私は散歩担当(+しつけ)です。
なんでイラつくのかというと、「無駄吠え」がひどかったんです。内容は「要求吠え」です。つきあい長いし、鳴き方で何が言いたいかはだいたいわかります。テリトリーを主張するような威嚇吠えとは明らかに違って、「わんわん!…わんわん!…わん?…(ちょっと様子を見る)…わんわん!」←こんなカンジ。
残念ながら、しつけとしては飼い主様に対して犬から“吠えて”要求するってこと自体ダメダメちゃんなんですけどね。でもこれは昔っからこうだったんじゃなくて、ここ1~2年、急に覚えたというかやるようになりました。
無駄吠えの対応は「無視」が一番です。吠えてもなーんもいいこと起こらないのね、ということを犬が学習してくれればそれからは吠えなくなります。叱ってやめてくれるケースもありますが、まだ冷静さが残っているときでないと効き目がありません…。「あ、コイツ、無駄吠えするな」というサインをキャッチして、その段階で「吠えちゃダメだよー」と諭してあげられればいいんですけど、なにせ立地的には「隣の犬」なんで。私が自分の家に居る限り、そんな対応は出来ません。
はじめは要求吠えも「散歩連れてってー!」くらいのもんだったので、夕方のお散歩時間になるとちゃきが吠え始めないウチにコッチが連れて行けばそれでよかったんです。なにも、ちゃきだっていきなり吠え始めるワケでなくて、かなりしばらく「まだかいな~?」なていで門扉の方向を見つめながらおとなしくお座りして待ってくれています(この姿はスゴクかわいい)。でも、「ダメだ…!ガマン出来なくなっちゃった!」というヤツなりのリミットが来ちゃうと「辛抱たまらん~っ」と言わんばかりに「わんわん!」が始まります。
この“散歩わんわん”にはこれまでに「ダメ」と根気よく教えてきて、それなりに「う~ん、散歩連れてってほしくてもわんわん言っちゃぁ怒られちゃうんだナ」と理解は出来ているようですが、やっぱりちゃきなりの「もう待ってられない」リミットがくると理性が飛んでしまうみたいです。どーしたもんか。
8月。盆を過ぎて、どうもいつもの「わんわん」が散歩でもごはんでもない状況・時間で始まったりするようになり、しかも気でも違ったのかと疑わんばかりのしつこさでした。
当初、従来の無駄吠え対応として無視作戦で臨みましたが、ヤツのよく通る大きな声(ヤツの母親は森のホルンと言われるビーグル犬。声の野太さはピカイチです)としつこさにコチラの神経がスッカリ消耗していまいました。無視という対応は間違っているのか、どうしたらいいのか、ご近所にも申し訳ない、…と悩みが一気に出来たのです。
盆休み中はうちの母も長らく帰ってきており、ちゃきもいつもの家の雰囲気とは違った甘えやすい境遇についつい慣れてしまって、だから母が帰ってしまってからも甘えたくて鳴いてるのかな?とも考えましたが…どうやら日にちが経っても様子が変わらないので違う原因ぽいと思い始めました。
あ、“母が家に帰る”とかってフレーズあるとびっくりされますよね?すいません、ご心配かけかねない表現をしてしまいました。ここでちょっと説明というか…ウチの両親はどっちも健在で夫婦仲も良いですよ。実は母はダイガクキョウジュっていう職業してて、去年から他県の大学で教えるために単身赴任中なんですよ。一般的なリーマンのおっさんの単身赴任のやさぐれ感とはエライ違いで、部屋もオシャレなファミリータイプの広いハイツで悠々自適にやってます。自分の車もアッチに持って行ってるし。不自由してない単身赴任って、仕事に精出せる感じみたいで「忙しい」連発してます。
母の説明はこのくらいでいいとして…。ちゃきが無駄吠えしても、あんまり気に病まない父にかわり、私とダーリンはイライラしながらも「どうしたもんか」と悩み抜きました。で、ある日、老犬についての記述で「犬の認知症」というのにたどり着きました。
その中にまさに「コレだ!!」という症例を見つけました。『1日中寝ていることが多く、夜はそれほど眠らない。そして夜中に意味もなく鳴く』というところ、思い当たるどころかドンピシャだったので、瞬間に目から鱗というか胸のつかえがスーッとする思いを味わいました。
まだまだ日中暑いなか、どうせ寝るんだったらせっかくの風の通るテラコッタのテラスの特等席でグデンと寝ればいいのに、わざわざいかにも暑そうな犬小屋でグゥグゥ寝てばっかりいたのも気になっていました。食欲は旺盛で散歩も大好きという昔と変わらない部分を見ているだけに、「老化」という現実にこっちのアタマがいかなかったみたいです。
そうか~、認知症か…。犬もなるんだ…。だったら夜鳴きしてるときに、思いっきり叱ったりしてもちゃきは「??」だったろうなー、理不尽な扱いを受けたと感じたんだろうなー、理解できないんだもん、かわいそうなことしたなー、とピークに達していた私のイライラもどこかへ消え、かわりに「とにかく理解してあげたい」というキモチでいっぱいになりました。
その後、夜は玄関で寝かすことにしたら、夜鳴き早朝鳴きはなくなりました。幸いに実家の玄関はホールになっていて、土足の部分もテラコッタタイル敷きでけっこう広いから太ったタヌキ大の犬が1匹いてもなんら問題ありません。下駄箱の下部分がちょうど空いていて、犬が安心できるねぐらの条件を偶然満たしています。もともと雷が鳴った時限定でちゃきを玄関に入れていました(ちゃきは雷が大嫌い)が、玄関はちゃきにとって外界の音や様子もシャットアウトされて心落ち着く場所みたいだったし。
ま~、このへんでイライラしたのはちゃきに対してではなく「父に」でしたね。父はどこか飼い主の自覚がなくって、玄関に入れたり入れなかったり勝手な自分ルールで行動したので、結局朝鳴きしだしたちゃきに私が起こされ、夜も明けきらない中、隣の家である実家へわざわざ出向いて、わざわざ実家の家のカギを開け、わざわざちゃきを玄関につなぐ…ということをさせられたのもあってキレかけました。犬と違って人間は言葉も話せるし理解できるのに、なんで決めたことしないんだ?!ってね。母に仲介してもらってやっと「ちゃきルール」を施行することができました。
犬も人間も年とると、耳も遠くなるし、目も見えづらい、体も昔ほど言うこときかない…となるとなんとなく不安になったり苛ついたり不安定になっちゃうモンですよね。自分だったら…と容易に想像できます。ちゃきを見てるとまだまだ体は元気なので、ついコチラは油断してしまいます。でも、もうスッカリおばぁさんなんだよなーと思うと、老いたバァさん犬に本気でイラついていた私が今振り返ると滑稽だったりします。バァさんとわかっていても、ちゃきが幼い顔つきのためついついまだ子犬のように見えてしまいます(実際たまに大型犬の子犬に間違われる)。よくよく見たら顔に白いモノも増えてるのにね。
まだまだ「認知症のワンコと暮らす」ことについては、超初心者です。でも、ちょっとくらいボケばぁさんでも、甘えられたり懐かれたりしたらこっちはメロメロなんですよね。長生きしてほしいです。脳への刺激がイイらしいので、イロイロ試行錯誤してみます。なるたけ不安要素は取り除いてあげられるようにも頑張ってみます。
老いは急にやってくるわけではなく、ジワジワとくるものです。今だからこそ「そういえば…」と思い当たることも、たくさんあります。しばらく戸惑いまくりましたけど、今は「ちゃきがガンとか重篤な病気ではなくてむしろ元気なんだから、ヨシとしようよ」という気持ちです。気持ちのゆとりが出来た今は、ちゃきとの散歩の時間が楽しいです。階段登るとき、私が追いつかないと途中でコッチ振り向いて待っててくれるとことか最高にカワイイ!!歩道橋の踊り場でフイに立ち止まって下を覗いてたそがれだすちゃきに、「なに黄昏てんのさ?」とツッコむと、「おっ!」という風にまた歩き出すとことかも意味わかんないけどカワイイ!!
みんなも家族が老いるのって現実問題ツライことだけど、温かく見守り理解してあげようと思ったらコッチの心の疲労もなくなるよ!ちゃきに教えてもらったよ!





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